「サーカスおぼえがき」
先日、サーカスを観てきました。
サーカスに行くのはおよそ10年ぶりで、
朝からワクワクする気持ちを胸に、電車に乗って海辺の広場まで。
遠くの赤いテントが目に入ってくると、ちょっと小走りになる。
テントの中は、外の晴天とは対照的に真っ暗で、
緊張感と期待でいっぱいの、生暖かい空気に包まれている。
舞台はもちろん、裏舞台を垣間見たいのもあって、
バックステージへの通用口のすぐそばに、席をとる。
最初に登場したのは、天井からつるされた紐にぶら下がって、
アクロバットを繰り広げる小柄な女性たち。
首がもげてしまうよ!と、舞台上にあがって止めに入りたいくらい、
ものすごいスピードで回転する。
それから次々と、目を疑うような、ものすごい芸が繰り広げられる。
3台のバイクが同時に大きな球体の中を爆走したり、
椅子を10個くらい積み重ねたてっぺんで逆立ちしたり、
回転する大きな2つの輪の中で、飛んだり跳ねたり縄とびしたり…
同じ人類として、鉄棒の逆上がりさえできないわたしは、
人間という生きものの幅の広さに、ただただ愕然とした。
あと50年後くらいにはほんとうに、
空を飛ぶ人間があらわれるかもしれない。
ゾウやトラやライオン、シマウマなどの動物も登場したけれど、
彼らを見ていると複雑な気持ちになって、
人間のショーほど楽しめなかった。
シマウマなんかは弱肉強食の自然界にいるよりは、
サーカスの方が断然安全だけれど、
やっぱりライオンには気高くあってほしいと思うので、
芸をしている姿はなんだか見ていて居心地が悪く、胸がくるしくなった。
大人になって観るサーカスは、ただ楽しいだけじゃなくて、
人間や生き物の性(さが)についても、考えさせられる場所でした。
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